樵からはじめて、すべて手づくり


何でも作ることは楽しい、少年時代から山小屋を夢見た


         平成元年の春、脱サラして夢の実現へ


雪の祭壇
平成3年、「今年は新築に年回りが悪い、
節分までなら去年の内」で縁起がよい、と
のこと、雪中の地鎮祭となった。 

手前が私、後ろはモンタニオ工房の小出
さん。 カメラマンは隣人で素人神主の中
島さん 
50センチの積雪をかき分け、地鎮祭



建てた小屋


一階 ロフト
サワラの大黒柱 ロフトは杉丸太の柱

                                   


丸太小屋の魅力


 1983年ころ、山と渓谷社がウッディライフを発刊した。     
 5年間は毎晩枕元に置いて読んだ。                 

 ログハウスの作り方と言う本も出て、読み返すうち工法をほぼマ
 スタ−した。                                 

  あちこちにログハウスが建つようになり、見学した。
 丸太の魅力、豪華さ、重量感の感動の一方息苦しさを感じるのも
 あった。
                                    
 山小屋の近辺に戦後の開拓者が建てたロマノフ式の丸太小
 屋がある。直径はせいぜい10センチ。

 作業着で気軽に出入り出来る雰囲気がある。
 住居は、肉体と心の棲家。体感上の居住性と、心のやすらぐ場で
 ありたい。                          

 あれこれ迷った挙句、山小屋は、板張りのウッデイ調ということで
 間伐の丸太を柱に、米松や杉板の板張りにした。             
       
 今も丸太小屋へのあこがれを持っている。
 間伐材で規模に応じた太さの丸太で建てようか。 
 角ログもよい。 
     
 

 

最初は樵

 小さな山小屋を造るにも許可がいる。農地法、都市計画法、国定
公園法、建築基準法などである。                     
 平成元年3月に脱サラして、8月までに建ててしまう考えは甘かっ
た。                                     

 建築許可が下りたのは平成3年5月で、許可が下りるまでの間
唐松の伐材をした。 樹齢35年で直径25から30センチである 

事故の用心

 一人の山仕事で、どんな非常事態が発生するか分からない。ア
マチュア無線の2mハンデイ機を常時携帯していた。        

が満足感を味わうとき

 植林のまま、手入れしてない密林は根元を切っても周囲に引っ掛
かり倒れない。 梃子やロ−プを使って悪戦苦闘である。      

 小鳥のさえずりと、風の音だけの孤独な空間に突然バシバシと枝
が飛び、ズシ−ンと倒れる。                       

威力を発揮した電動チエンソ−

 ウッデイライフで不可欠の工具はチエンソ−である。プロ級のもの
を整え、しっかり手入れする事で作業能率、仕上がりが断然違う 


自慢のチエンソ−
薪は焚ききれずキャンプファイヤ−に  購入したのはマキタ製1300W出力の片手にはずっしリ重いチエンソ−である。       電動の良いところは                 スイッチ一つで動くこと            燃料がいらない                音が静かである                パワ−の割りに小型である   唯一電線を引きずりまわすのが欠点である。   
倒す方向は枝振り、片づけやすさなど総合判断で

 

電線・電話線は地下配線で

電線のない風景
遊びに来た人も電柱のない風景を喜ぶ 小屋ができれば電気がほしい。 電動チエンソ−を何処でも使いたい。  だが電柱を建て、電線を張りたくない。
ポニ−の居るあたりに地下配線がある

電線の地下埋設は自己負担


 電柱のない風景へのこだわりから総延長にすれば400米になろ 
うか、中部電力からの受入電柱1本だけで後は作業、経費自前で 
地下配線にした。 同時にその後予定した電話線を地下配線する 
ための引込用パイプや上下水道パイプも一緒に埋設した。     

 地下配線からの立ち上げは建物や外灯の部分で行い、コンセント
が着いているので30米のコ−ドリ−ル1本、乃至2本あれば何処で
も電動チエンソ−が使える。                        

 ここで注意したいのは、電圧降下の問題である。延長先で使用す
る電気容量に応じた太さの電線を用いなくてはならない。 私の場
合、先端部分でも 100V以下にドロップしない。           

 その後、あらかじめ用意していた引き込み管に電話線を入れたが
NTTは中部電力よりサ−ビスがよく材料・工事は向こう持ちであっ
た。                                      

道路を造る

半年も借りていた
幅員3米以上で4トントラックが通れる  土建屋の友人がバックホ−を持ってきて2日間手伝いながら、操縦を教えてくれた。 機械は当分使わないから後は適当に、とバックホ−を置いて帰っていった。 林内に開けた管理道路の延長は300米程になる                          
 重機を使えば、邪魔な唐松は根こそぎ倒せる。1週間もすると体の一部のようにバケットが動くようになった。
お礼は5日分の使用料


私有林でも伐材届けがいる
 
ある日、県と市の林務関係職員がやって来た。「なぜ無許可で伐
材や道路建設をするのか」と。                      
 森林法では、自分の持山の1本の木を伐る場合も届け出ることに
なっていて、松本市は公報まつもとで年1回そのことを周知している
                                        
 幸いに私は公報を読んでいたから、「自生広葉樹の成長を勘案し
植林の唐松を伐材して植生転換を図る。 尚その作業、管理上必
要とする道路の建設」をすると届けてあった。            

 「許可書はあるか」と役人。「届けに対し可否の通知、指導がな
いのは容認と理解する。 法の精神に反すれば従う。 届けとは
そういうものものだ」と私。 「そうですね」となった。        

 ただし、山小屋建設となれば、樹木伐材のほか切土や盛土・給
排水など詳細な計画書を付けて開発行為の申請をし、許可が必
要である。 勿論その手続きもしてあったから文句のつけようがな
いはずである。                              

 松本市が周辺市町村にくらべて規制が厳しいのはよい事だと思
う。 それだけ自然景観が護られるから。               

造成

最初に買ったバックホ−
乗り降り自在、単独作業に都合よい 造成に先立って、ポンコツバックホ−を購入した。
価格は22万円、現在も健在である。
IWAFUJI製。車体が低く、安定性がある

造成したり、修理をしたり

 伐材や道路づくりにつづいて、相変わらず孤独な一人の作業だ
からシャベル・つるはしではラチがあかない。            
 ポンコツでも人力の10人分は働き、エンジン音が賑やかな相棒
である。                                  

 しかし老骨は度々キャタビラを外し、エンジン不調でストライキを
起こした。 その都度仕事は土建屋から修理屋に早変わりとなる
 修理と言ってもプラモデルを扱うようには行かない。       
                              
 最初にキャタビラを外したときは、手伝いを頼んで半日ほどかか
った。 汗びっしょりで直ったときは思わず「万歳…」と叫んだほど
の感激であった。 何事も経験である。後には1人で10分もあれ
ば修復出来るようになった。                     

 それでも時には原因不明の故障になったり、特殊な工具が必
要になる。 その都度何人かの修理関係の友人の世話になった
 修理方法を教えてくれたり、工具持参で手伝ってくれた。   

 自身は機械いじりが好きだ。 見捨てられるほどの故障を修理
して動かすことに快感を覚える。 友人達もポンコツ機械を相手に
智恵や技術を出して一緒に楽しんでくれた。            

 そもそもアウトドア−暮らしは、有るものを最大限に活用して生
活するところに楽しさがある。アイディアを生かし、工夫して創造
するのは生きるよろこびである。                   

 造成で留意したのは、なるべく地形を変えないこと、植物への
ダメ−ジを最小限にすることであった。
               

 闇雲に造成するのと違い、この2点を守るには頭を悩ました。
 「庭師は眺めるのが仕事」と言うが何時間も構想を練ったもの
である。                                

基礎工事


丁張りと基礎堀
前途はるか  基礎工事は造成されたスペ−スの中での作業になる。掘った土の置き場所、機械の行き場を工夫して効率を考える。下手をすると機械が外に出られなくなったり、手掘り部分ができる。
振り返れば、よくぞひとりで

独立基礎は仕掛けが大変

 標高1500米のこのあたりでは70センチ以上掘らないと凍み上
がる。 埋め立て部分では自然壌といわれる赤土まで掘り下げ深
いところは1米50センチに達した。                  

 土建屋さんならこの段階で砕石を入れ、展圧機で固めて捨てコン
になるが、我が素人土建は昔の基礎づくりを実行した。       
 近辺からグリ石を集め、穴に投げ込んでどう突きである。「カアチ
ャンのためならエ−ンヤコラ」だが、一人ではそうもいかない。 太
い丸太のどう突き杵を造ってバックホ−に吊るしてみたが、勢いを
付けて落とすことが出来ない。 結局大ハンマ−で叩き廻ることに
なった。                                  

独立基礎の型枠
21本の独立基礎  捨コンは一輪車の舟を利用して練った。 ひとつの穴に一輪車2台づつ入れて42台になる。 セメント・砂・砂利の比率は1:3:5。近頃は生コン利用だから若い土建屋さんに比率を聞いても、知らないと言われる独立基礎は布基礎より難しい。 21個の型枠を設計位置に固定してレベルを合わせた。                  
 型枠は、口径30センチ、高さ90センチの設計で、四枚のコンパネを釘で打ち付けるつもりであった。
一人なら思ったように出来る  途中で友人の土建屋さんに話すと、「それでは生コンを入れればはじけてしまう」と教えてくれた。                  
  そこで、サン木・マルセパで本格的に仕上げた。 尚、同じ型枠
を繰り返し使えるよう2ピ−スの組み合わせ式にした。       
 入念に締め付けて、いざ生コンを流し、バイブレ−タ−を掛けると
型枠は軋めき圧力のすごさを体験した。               

 生コンを流し込むには本職を含め5人の人手を用意したが、準備
した型枠はプロ並みだと評価された。                 

 最終的に同じ小屋を5軒、四阿屋を建てたから独立基礎数は11
3個となり、ノウハウを呑み込んだつもりである。           

建前

中村棟梁の晴舞台
林間に木槌が響く  仙人のように黙々と基礎工事をしているとき、大工さんは自宅の工場で材木を刻んでいた。  いよいよ重い建材を組み立て、立ち上げる建前は大勢で1日が常識である。 裏板と呼ばれる屋根の板打ちまでが建前仕事である。 ここまで出来るとシ−トを掛け、雨が降っても仕事ができる。   
ヘルメットで考え込んでいるのが中村さん

屋根葺き

アマチュア無線仲間の板金屋さんに頼む
ロッククライミングをやったが、私は高所恐怖症  屋根葺きは本職に任せた。 そこまで手がまわらないこともあったが、専門の足場や工具を整えなければならない。 何よりもカネ勾配と言われる45度の傾斜は不得手である。           
 さすが本職は2人で1日掛からずに仕上げてしまった。
これから上が問題である

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